こんにちは。視能訓練士のIです。
先日千寿製薬さん主催の視能訓練士向けWebセミナーがありました。演者は川崎医科大学眼科教授の三木先生です。
昨今は全国的にコロナで不自由を強いられていますが、その反面こういったWeb上での勉強会が多く催されるようになりました。遠方に足を運ばなくとも自宅で気軽に視聴できるのは有難いことです。
さて今回のテーマは『10歳以上で来院した未治療の不同視弱視症例の経過』でした。
私たち視能訓練士は普段の業務の中で弱視児の治療にあたっています。弱視とは何らかの原因により視機能が発達していない状態を指します。原因もいくつかありますが、今回の題目でもある「不同視」が原因の弱視児にもよく遭遇します。
不同視弱視は左右眼の屈折度差が大きく、多くの場合片眼は視力が良く、もう片眼は強い屈折異常のために引き起こされてしまう弱視です。片眼の視力が良いため、普段の生活で不自由を感じないお子さんも多いので、大きくなるまで眼科を受診されないケースもまれにあります。3歳児健診や就学してからの学校検診でも特に指摘をされなかったと言われる方もいますので、現場のスクリーニングについても考えさせられます。
視覚には感受性期があります。一般的には生後1ヶ月頃から始まり、1歳半でピークを迎え、その後徐々に減衰をたどり、8歳の終わり頃までは残存しているとされています。言い換えると、治療できる期間は限られており、早期発見・早期治療に越したことはないのです。しかし先ほどからも触れているように、10歳以上の高年齢で弱視が見つかるケースや、弱視の認識はありながらも治療をせずその年齢になってしまったケースもあるので悩ましい限りです。
ですが三木先生は今回のセミナー内で、10歳以上からでも積極的に治療を始め、それから5~6年経過した現在でも治療を継続している患児の例を取り上げられていました。初診時は矯正視力0.2でしたが、根気よく治療に取り組み現在では0.6~0.7まで上昇しているそうです。加えて立体視もある程度出てきているとのこと。また、7歳から12歳までの不同視弱視で統計を取ったところ、半数以上で治療に反応があったとも言われていました。
もちろん低年齢から始めた治療のように目覚ましい変化は見られませんが、それでも10歳を過ぎると全く望みを持てなくなるわけではない!ということなので少し嬉しくなりました。
お子さんと保護者の方が現状を把握し、納得して治療を開始したいと思えるようであれば、私たちスタッフもそのお手伝いができます。
皆さん、何はともあれまずは一度眼科受診をしてみてください!