日に日に春の訪れを感じる季節になりました。
枕草子の『春はあけぼの~』の一節にあるように、紫色がかった雲が空に広がる様子が大好きな受付のFです。
春生まれ、好きな季節も春です。
さっそくですが、歳を取ると誰しもが白内障になります。
白内障は目薬で進行を遅らせる事は出来ても、放っておいて治る病気ではありません。あまりにも濁りが進むと手術の難易度が上がります。眼の中の濁った水晶体を取り除き、人工のレンズに入れ替える手術をすれば術前よりはスッキリと見えるようになります。その手術に使われるレンズが大きく分けて2種類あり、
・ 1つの距離に焦点が合う単焦点眼内レンズ
・ 複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズ
です。今回の勉強会は、ジョンソン&ジョンソン製の多焦点眼内レンズで新しく昨秋から発売が開始された、テクニスオデッセイオプティブルーについてでした。
ジョンソン&ジョンソン社の多焦点眼内レンズレンズシリーズのテクニスは、日本では2001年から取り扱われ、24年の歴史があります。今まで当院で採用していた、同シリーズのシンフォニーとシナジーが今年の6月で販売が終了する為、今後は【オデッセイ】に変わります。
余談ですが、眼内レンズの歴史を調べていたところ、初めて眼内レンズを用いた手術は約70年前に行われていました。驚きです。
オデッセイの特徴についていくつかご説明します。
・ 連続焦点・・・遠方から近方まで、連続的範囲で視力を維持
・ 残余屈折に対する高い耐性・・・より近方に合わせても遠方に影響しない
・ 夜間光視症の軽減・・・ハロー、グレア、スターバーストの発生率が低い
・ 昼夜を問わず質の高い見え方・・・眼全体の色収差をほぼゼロにし、より鮮明に
ここで、夜間光視症の軽減とコントラストについて少しお話します。
単焦点眼内レンズに比べ、多焦点眼内レンズは夜間光視症が発生しやすい面があります。中でも、スターバーストは光源から放射状に伸びる光の線が見える現象の事で、夜間の運転時や薄暗い場所で顕著になる事が多いと言われています。オッデセイを挿入したほとんどの人が、術後1ヶ月間でスターバーストを全く感じないか軽度に感じるのみといったデータがあります。夜間運転する事が多い方にとってはありがたいですよね。また、眼全体の色収差を低減する事により、よりシャープな見え方や、明暗のギャップが少ない為昼夜を問わずコントラストの高い見え方が期待できます。
多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズに比べて費用が高いデメリットがあります。ガソリン代や色々な物価が高騰している昨今、そんな高額なお金はなかなか算出出来ないですよね・・・。私は今まで、自分の親に白内障手術が必要になった時、迷わず単焦点!と思っていましたが、今回の勉強会に参加して、上記に挙げた4つのメリットと、費用が高額というデメリットを鑑みても、完全に選択肢のひつになりえると思いました。
人生100年時代と言われ、様々な情報が眼から入ってくる世の中です。
いつまでも質の高い見え方で過ごせたら最高ですよね。